郵政民営化

毎日新聞が一番よい記事を載せていると思ったため、引用します。

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20050128k0000m010039000c.html
郵政民営化:「今国会で必ず成立させる」小泉首相明言
小泉純一郎首相は27日の衆院予算委員会で、郵政民営化法案について「今国会で成立させるよう努力するのが私の立場であり、成立しないとは全く考えていない。必ず成立させる」と明言した。政府は法案作成に向け自民党との協議を始めており、党内の民営化反対派をけん制する狙いがあるとみられる。民主党の石井一氏の質問に答えた。
また、首相は、民主党菅直人前代表が靖国神社の年内参拝の意思をただしたのに対し「適切に判断していく」と従来の見解を繰り返すにとどめた。ただ、この答弁について自民党久間章生総務会長は同日、記者団に「ニュアンスからすると行かない可能性の方が強い。国益を考えながら行動すると思う」との見方を示した。
また、谷垣禎一財務相は、社会保障制度の負担のあり方に関連し、「07年をめどに、必要な行政サービス、特に社会保障がどうあるべきか、負担を公平に担ってもらうかを議論すると、消費税をどうするかとの課題が出てくる」と述べ、07年末までに消費税率引き上げについて結論を得たいとの考えを示した。自民党与謝野馨政調会長の質問に答えた。【中田卓二】
毎日新聞 2005年1月27日 19時19分

かねがね注目していた郵政民営化ですが、とうとう法案化するところまで来ました。郵政民営化の効果は、最終消費者や労働者の視点から見ると何が何かよくわからない部分がありますが、産業や経済全体の視点で見ると、非常に大きな重石となっています。日本全体が、今後も経済的に余裕を持った国でいるためには、郵政民営化を、官の力をなるべく残さない形で行うことは不可欠です。
郵政民営化については、国民に対して説明不足だと指摘されています。確かに、郵政民営化は産業構造の改革ですので、最終消費者や労働者の視点からは、その効果を理解しづらいものはあります。しかし、それ以上に、利権を持っている郵便局の声の大きさに、マスコミが負けてしまっているのではないかというのが、より根本的な原因なのではないかと思います。日本のマスコミは、声の大きいものに弱いという致命的な弱点を持っていますが、今回もその弱点のために、声の大きい郵便局の意見に負けて、声の小さい郵政民営化を擁護する意見を無視してしまっているのではないかと思うのです。*1
そもそも、郵政民営化によって、大多数の国民は全く損失を受けないはずです。たとえば、国鉄が民営化して、誰が損失を受けたのでしょうか? むしろほとんどの人はサービスがよくなったと思ったに違いありません。その観点からすれば、マスコミで宣伝されている郵政民営化によって起こる問題は杞憂にしか過ぎず、ほとんど検証もしないでその杞憂を垂れ流すマスコミの態度には、非常に問題があります。


*1 : しかも、郵便局は一見弱者を装っているので、マスコミとしてはより擁護しやすいのです。ここで、マスコミのもう一つの弱点である、本質よりも表層を大事にする、という特徴が発揮されています。

郵政民営化と道路公団民営化

産業構造の改革という観点で、郵政民営化道路公団民営化とかかわっているということを、過去に述べていました。
道路公団民営化 (21/Dec/2003)
道路公団民営化 (20/Dec/2003)
郵便局が現状のままで残るということは、採算性の低い融資を「政治的に」実施するということがいつまでも続けられるということで、そのために国力をそいでしまうということだということは、まず、最初に認識しておかなければいけないことです。郵便局は、郵便を配達する法人である以上に、郵便貯金というなの預金を持つ日本最大の金融機関なのです。そもそも、金融機関のような他人のお金を預かっている法人が、その資金力を活かして政治的な圧力団体になっているということが、最大の倫理的問題だということを、どうしてマスコミは指摘できないんでしょう?

株式分割(100分割)とMSCB

今日、メルマガ「10秒で読む日経!視点が変ると仕事や投資の種になる」で、こんな記事が配信されました。この件については、私もまったく同感なので、引用させていただきます。

http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000102800
2005/1/28 No.783
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10秒で読む日経!視点が変わると仕事と投資のネタになる
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今日のNews
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●27日の株式市場で株式を大幅に分割した銘柄の上昇が目立った。大幅分割銘柄は、分割権利落ち後、新株の効力が発生する1カ月半近くの間、旧株しか流通しないため需給面での思惑を呼びやすい。
1月28日日経新聞
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佐々木の視点・考え方
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★株式市場の話題を集めたのがシーマ(7638)とモスインスティテュート(2316)。新聞の書き方は穏やかだが、私は怒り心頭だ。この両社の上場を許す証券取引所経営者は罰せられるべきだ。
★何があったかというと、両社は最近、それぞれ1対101、1対100の大幅分割をした。これだけの大幅分割だと、株券が交付されない1月半の間は、売り物が少なく、買い物が多くなるから株価が上昇しやすい。それをあてこんで、半可通の投資家が売買することが多い。しかし、この両社の場合は事前に毒を盛り込んでいる。転換価格下方修正条項付き転換社債(MSCB)を分割前に発行している。MSCBが株価や企業の将来にどんな影響を及ぼすかは、徒然に書いたのでここでは繰り返さない。MSCBはモラルがあれば存在が許されない商品とだけ言っておく。MSCBによって、実はある特定の投資家が割安な株価で、旧株を手にすることが出来たのだ。例えば、シーマは26日に2千万株の出来高があった。普段は1万株に満たない出来高なのに。これは転換社債保有者がいち早く(実質)分割後の株を手にし売ったからだ。つまり、転換社債の投資家は、購入してから1月程度で2億円を10億円に増やすことが出来たのだ。このからくりを知らない一般投資家の犠牲のもとに。
★私は、こうした日本株市場の構造的欠陥があるので、日本株よりも、他の株式市場に投資するようにしている。詐欺的にお金を奪われるのは嫌だから。投資家を呼び込みたいなら、もうすこしフェアな株式市場にしてほしいものだ。

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自分で考える投資家の羅針盤 会員制メール倶楽部【徒然】
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理論と実績を兼ね備えた株投資専門家のニューズレター。
http://www.cantan.co.jp/report/kaiinnmaillclub_apply.htm

株式100分割については、メルマガ「http://www.melma.com/mag/95/m00033195/」の1/20日付けの記事で取り上げていたので、引用します。

http://www.melma.com/mag/95/m00033195/a00000576.html
□□□□□   100円で株主の時代?
□□□□□         〜日経新聞 2005/01/20 19 面から
宝飾品販売のシーマが前週末に発表した大幅株式分割が話題を呼んでいる。
1月31日付で1株を101株に分割する予定で、前週末の終値996円を基準にすると分割後の値段は9.86円。売買単位は10株なので、計算上は約100円で株主になれる。400円程度から買えるライブドア株をさらに下回る。
分割発表後のシーマ株は「株式分割企業の株価は上昇する傾向がある」という思惑人気から19日まで3日連続のストップ高。対面営業の証券会社でこの株式を100円で買えば数千円の手数料がかかるだけに「ますます手数料の安いネット証券に顧客が流れる」と嘆く声も。
●● 株価高騰のための裏技とも言える100分割を実施する企業がでてきたようです。これまでも、下記のような企業が株式の100分割を実施しています。
 エッジ(現ライブドア
 バリュークリック
 モスインスティテュート
 ゼクー
最初にこの株式100分割というスキームを実施したのが、現在のライブドアであるエッジです。分割が実施されたのは、2003年12月25日のクリスマスのこと。分割の実施後、ライブドアの株価は、翌年の1月20日まで15営業日連続ストップ高となりました。15日連続ストップ高という事態は、前代未聞の異常事態として、当時多くのマスコミで取り上げられていました。連日のストップ高で最も値を上げた1月21日には、分割前のおよそ10倍という株価まで達していました。業績や人気などは全く無関係に、ただ単に株式を分割するだけで、株価を10倍にしたのです。
しかし、その後ライブドア株は連日ストップ安をつけるなど、大幅に値を落とし、2004年3月ごろには、すっかり分割前の株価水準に戻っています。その後、ライブドア株はさらに10分割を実施し、株価の高騰を演じていますが、結局は2003年12月の分割前の水準とかわらない株価に落ち着いています。
ライブドア2年分の株価チャート http://qrl.jp/?162693
100分割などの大幅な分割後に株価が急騰し、しばらく経つと急落に見舞われる現象には、明確な理由があります。これは、日本の株式市場のシステムの問題です。日本の株式市場では、株式の分割を実施すると、分割して増えた株式は、2ヶ月程度売買することができません。そのため、100分割が実施されると、99株分は売買できず、分割前の1/100の株式しか売買できないのです。ある日いきなり、売買できる株式が1/100になれば、供給が逼迫し、値が上がるのは当然です。理論上、価格が100倍になってもおかしくありません。しかし、売買できなかった99株分が市場に戻ったとき、一気に供給が潤沢になるため、株式の需給関係はほとんど分割前の状態に戻ります。最終的には、一株の株価が調整され、単純に分割数で割った価格に戻ります。そのため、結局は株式の売買で儲けることは難しいのですが、短期的な株価の上下で利益を得ようとする投資家が一斉に集まってくるようです。
≪関連Webサイト≫ 株式会社 シーマ http://www.cima-ir.jp/

そして、MSCBとは、このようなものです。(ちょっと一方的な書き方のサイトですが、感覚的にはわかりやすいかなと・・・。もっと突っ込んだ議論については、こちら「http://tousi.org/archives/2005/01/mscb.html」を起点に見てみるとよいかと思います。)

株主は食い物にされる?MSCBって何?(MSNマネー)
※ こちらに挙げたサイトの内容よりも、もっと適切に分かりやすくまとめられたサイトがありましたので、ここに掲載していた記事を削除しました。より適切なサイトは、12/Feb/2005の日記で紹介しています。

ちなみに、hatena diaryの中でも、このシーマについてふれているBlogを見つけました。
http://d.hatena.ne.jp/DEN-suke/20050127#p2
また、シーマの社長さんのBlogが、シーマのIRページにありました。1月24日の日記には、多くのコメントがついているようです。
http://www.cima-ir.jp/blog/archives/2005/01/post_5.html