井伊直弼

なんで、[国際]で井伊直弼なのかというと、アジアのなかでの日本は、いち早く近代化した国として他の国からさまざまな感情を持って見られているんだよなという意識があって、その日本の近代化は、実は井伊直弼から始まってるんだよなと思ったからなのです。


井伊直弼は、勝手にアメリカと条約を結んで、さらに安政の大獄を行った人物として、日本史としては悪名高いのですが、世界史的には日本の近代化において非常に重要な人物だと思うのです。
井伊直弼が、アメリカと条約を結んだという事実によって、(条約の内容はともかく)日本が交渉可能な政府を持った主権国家として諸外国から認められ、他のアジア諸国のような植民地化を免れ、近代化への道が開けたのでしょう。


日本の近代化の歴史を紐解くと、ぎりぎりの選択を迫られたとき、必ず国全体の利害を考えて実利的な判断をしていることがわかります。
まずは、先にあげた井伊直弼の条約締結、次に徳川慶喜大政奉還、さらにはポツダム宣言受諾による無条件降伏です。
上記3つのすべての選択には、精神的な価値を重視して提案を拒否するという選択肢があり、その場合は間違いなく国土の壊滅的な荒廃という結果を生み出していたことでしょう。しかし、この3回の危機的状況で、3回とも精神的な価値よりも実利的な判断を重視した選択をしています。


翻って、今回のイラクの対応を考えると、アメリカからの核査察の圧力に対して(その圧力が正当なものであるかはここでは考えない)、フセイン大統領(当時)が実利的な判断をするならば、無条件核査察を受けるべきだったはずです。しかし、フセイン大統領(当時)は核査察を拒否し、イラク戦争が起こり、結果としてイラクの国土は荒廃しました。このことは、イラクの発展に対して決定的にマイナスの影響を与えたことは間違いありません。