マネージャーの資質

マネージャーとは、管理職のことです。私は、企業という階層社会の中では、下から見上げる立場ですが、その視点から見て、分かってない管理職があまりにも多いことには、ちょっと驚きがあります。
そもそも、企業というのは、資本家(株主)が資本を提供し、労働者が労働力を提供して、稼いだお金をみんなで分け合うシステムのことです。ここで労働者とまとめて言ってしまっている中には、直接お金を稼いでくる現場の人と、そのおこぼれに与っている現場以外の人がいます。現場以外の人は、現場の人が稼いだお金の中から給料をもらっているので、いうなれば現場の人がお客であり、現場の人に役立つサービスを提供する義務があるのです。
ところで、管理職とは、現場以外の人です。たとえ直接部門の管理職であっても、現場の人ではありえません。管理職とは、本質的には、部下が稼いだお金で食べさせてもらっている現場以外の人なのです。管理職は、部下へ指示したり部下の評価をしたりすることが多いので、部下に給料を払ってやっている立場と誤解されがちですが、どちらかというと部下に給料をもらっている立場と理解しておく方がベターです。
そんな管理職は、部下である現場にいかに生産性を高く仕事をしてもうらうかに心を砕くことが、管理職の果たすべきもっとも重要な役割です。部下の生産性を上げてこそ、部の成績が伸び、管理職としての評価も高まるので、当然のことです。ですから、管理職がもっとも注意深く目を向けて、もっとも優先しなければいけないのは、部下です。部下を後回しにする管理者は、人並み以下の成績しか上がらないのは、自然です。


さて、管理職が持つべき資質とは、以下の3つです。

  • 観察力
  • 想像力
  • 説明力

管理職は、部下のことをよく観察して、そこからたくさんの情報を引き出せるように努めなければいけません。なぜなら、管理職にとって、部下から得られる情報が、管理職の持つ情報のほとんどを占めるからです。お客様の情報も、管理職が直接得る手段はなく、部下を通じて得なければなりません。しかし、部下は、必ずしもすべてを話す意思があるとは限りませんし、すべてを話す時間があるとも限りません。なので、管理職は部下の言動の細部までよく観察できなければいけないのです。
管理職は、目の前にある現象から、その背後にある関係を想像する必要があります。たとえば、お客様の情報は、部下の言動を通して想像する必要があります。また部下の生産性や仕事に対する満足感(それはやる気につながる)は、やはり部下の言動から想像しなければなりません。以下に的を射た想像ができるかが、的を射た決定を下せるかを決めます。
管理職は、さまざまな決定を部下に説明して説得する必要があります。管理職は、直接お金を稼ぎませんから、部下に説明して説得して代わりに働いてもらう必要があります。命令すれば動くというのは幻想に過ぎず、実際には背景や意義を含めてきちんと説明しなければ、意を汲んだ働きは期待できません。


ここまで書くと、これは、コミュニケーションの3原則でもあることに気づきます。