英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ)

英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ)
CSSGecko(Mozilla, Firefox)とIE6で使い分ける方法を探していたときに、偶然ぶつかったサイト(http://diary.sakura.ne.jp/?date=20040917)で、この本を見つけました。
この本を読んだわけではないので、この本の中身について、何かを書くわけではないのですが、英語教育については、考えることがありますので、つらつらと書いてみようと思います。

僕の狭い見聞に基づいて考えるに、従来の英語教育は、以下のポイントに偏りすぎていたのではないかと思います。

  • 単語/熟語の知識(つまり語彙数)を増やす
  • 短文における文法知識を増やす(特に特殊構文を重視)

また最近は、近年の使える英語を求める流行から、以下のポイントが追加されているように思います。

  • 挨拶や日常会話風の表現の知識を増やす(これも語彙数を増やす一環でしかないが・・・)
  • 英語ネイティブな人々(講師や留学生など)とのふれあい(!?)

しかし、このような英語教育をどれだけがんばったとしても、実用的な英語運用能力を身に付けるところまでは、大きな隔たりがありますし、実際、有名大学(国立・私立を含む)の学生でも、CNN International - Breaking News, US News, World News and VideoBloomberg - Are you a robot?のようなサイトを自在に読みこなせる人は、帰国子女でもなければ稀です。

なぜ、そこに大きな隔たりがあるのかと考えると、それは単純なことです。中学・高校と6年間、英語を勉強しますが、その中でほとんど英語のまとまった文章を読むという経験がないからです。実用的な英語運用能力とは、大学1年生程度の「日本語運用能力」と同程度の英語運用能力と考えてよいですから、そのためには、大学1年生までに読む「日本語」の文章と同じくらいの分量の英語の文章を読んでいなければ、少なくとも読みの能力だけでもその水準に到達することは不可能です。日本語を類推すればわかるように、読みの能力が低ければ、書きの能力も聞きや話しの能力も低くなるのはわかると思います。(*1

現在の日本の英語教育で問題なのは、まさにここなのです。

  • 大量の文章を精読する
  • 要求する文法知識の水準を下げる

できれば、単行本単位で何冊という量を継続的に読んでいく必要があります。逆に、文法知識は必要以上にあっても仕方ありません。細かい文法知識をいくらもっていても、ほとんど活用しないからです。なにせ、仮定法ですら、単行本一冊の中で数えるほどしか出会わないようなものなのですから。

*1:あくまで狭い意味での言語運用能力であって、コミュニケーション能力全体について述べているわけではないことに注意してください