虫歯治療2

こんな方法もあるそうです。夢のようですね。

健康プラスα 最新の虫歯治療は「痛まず・削らず・一度だけ」 (04/09/24) - nikkeibp.jp - 健康
「痛くない」「削らない」「麻酔が要らない」「1回の治療で済む」…。歯医者さんが苦手の人にとって、まるで夢のような虫歯の治療法が最近注目を集めている。
これは、病巣部の細菌を殺して無菌化し、組織の自然修復を促す治療法の一つで、「3Mix-MP法」と呼ばれる。3種類の抗菌薬を粉末にして、MPという基剤と混ぜてペースト状にし、それを虫歯の穴に置いて、上からセメントなどで密封する。すると、基剤から抗菌薬が少しずつ放出されて歯の隅々にまで浸透していき、歯全体を無菌化する仕組みだ。
この病巣の無菌化により、生体の自然治癒力が発揮され、病巣の組織は数日から1カ月ほどで修復されてくるという。3Mix-MP法の開発者の一人であるタクシゲ歯科医院(仙台市泉区)院長の宅重豊彦氏によれば、レントゲンでは最初は黒く写っていた虫歯の病巣も、カルシウムが沈着してくるため、だんだん白くなってくるそうだ。この結果、数カ月程度で、軟らかい病巣をまた硬い歯質に戻すことができる。
○ 歯を「できる限り残す」がコンセプト
3Mix-MP法が、従来の虫歯治療の常識と大きく異なる点は、病巣を取り除くのではなく、できる限り残すことにある。つまり、「さわらない」「いじらない」がこの治療法のコンセプトだ。病巣をほとんど削らないので、治療に伴う痛みはなく、麻酔する必要もない。
宅重氏によれば、歯の構造は“木の葉”をイメージするとわかりやすい。「細管」というチューブが寄せ集まって歯の形を作っているが、この葉脈のようなチューブの空洞の中に細菌が入り込むと、太い歯髄だけ治療していても、なかなか末端にいる菌まで殺すことは難しい。このため何回も通院して治療を受けたり、最終的に歯を抜く必要が出てきたりするという。
3Mix-MP法で使う3種類の抗菌薬の組み合わせは、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の星野悦郎氏が見いだした。口腔内に生息するすべての菌に対し、最も効果の高い組み合わせだ。
また、これらの薬自体は水分が苦手だが、薬と混ぜる基剤の働きにより、口腔内でもその効果を保ち続けることができる。3Mix-MP法では、1回の治療でまず100%無菌化できるため、何回も歯の根の治療に通ったり、神経や歯そのものを抜く必要が激減するという。
治療の効果は永久歯でも乳歯でも同じだが、ほとんど痛みがなく、短時間で済むことから、てこずりやすい子供の虫歯治療に特にメリットは大きい。
なお、使用する抗菌薬は保険薬だが、この治療法では内服薬を外用薬として使うため、保険の適応にはならない。医師の裁量権で使われているのが現状だが、 3Mix-MP法での使用量は、1錠で100本分の歯を治療できるほど少ないという。したがって、治療費も、一般的な虫歯の治療とあまり変わらないそうだ。
これまで神経を取るしかないとされていたような虫歯でも、3Mix-MP法では神経を残せる可能性がある。もし虫歯になってしまっても、諦めずに一度試してみてはいかがだろうか。
(瀬川 博子=日経メディカル)
<参考文献>
1)星野悦郎、宅重豊彦ほか:特集「LSTR療法の臨床II―3Mix-MP法のさまざまな臨床応用とその成果」, 日本歯科評論、No.737:47-89, 2004.
2)小林真美子:すぐ役立つ最新情報「虫歯の最新治療」, 日経ヘルス8月号, 20, 2004.
イラストレーション/川崎のりこ(PLUMGRAFIX)