企業の構造と利益の分配について

この内容について、きちんとまとめたエントリーを作っていなかったことに気づいて、改めて書こうと思いました。
企業とは、経済的な側面から見るとどういう存在なのか? 企業とは、資本と労働力を集め、それを一定の計画にそって投下し、その結果として付加価値を生産して、その付加価値を資本の提供者と労働力の提供者に分配するという社会的な仕組みです。国民経済計算は、このような経済学的な見方に立って、国の経済活動を分析したもので、初学者は、国民経済計算の基礎概念を学ぶことで、上述の内容を理解できると思います。
経済学では、上述のような抽象的な言葉で説明しますが、これを具体的な企業活動に当てはめるとどのようになるのでしょうか? まず、資本の提供者ですが、これは出資者(株主)、社債の購入者、銀行などで、提供形態も株式、社債、銀行借入などがあります。つまり、BSを書いたときの右側に並ぶ項目なります。これらはそれぞれ付加価値の還元額の計算方法が違っています。
また、労働力の提供者ですが、これは、雇用形態では、正社員、派遣社員、パート・アルバイトなどがあり、職種にも営業、製造、企画、開発、運輸、法務、管理などさまざまです。これらは、それぞれ、給与の支払(つまり付加価値の還元)の計算方法が違っています。
また、経済学のモデルでは捨象されていますが、実際には、これらの要素を仲介する要素があります。これが経営者です。経営者は、資本と労働力というリソースをどのようなバランスで組み合わせて投下するか、得られた付加価値をどのようなバランスで分配するかの決定を行います。具体的には、労働者の給与体系をどうするか、株主に配当としていくら還元するか、銀行借入と自己資本の割合をどの程度にするか、自分たち(経営者)への報酬をどの程度にするかを決めるのは、経営者です。(決定内容の一部には、取締役会や株主総会などで承認を要するものもありますが、基本的には経営者が全体のバランスを取っているということになります)
このような構造を理解すると、皆が幸せになるには、付加価値の分配方法を検討するだけでは不十分で、付加価値の総額を増やす方法も検討しなければいけないし、むしろ付加価値の総額が増えなければ、皆が幸せになることは難しいということが理解できます。