平均生産性が個別のセクターの賃金水準と本当に相関しているのか?

下の考察通り、国内が完全競争なら、三面等価のために全てのセクターで賃金水準が等しくなって、それは平均生産性と等しくなることになるということは、競争的でないセクターを取り上げれば、賃金水準と平均生産性が相関しない例も見つけることができるはずですよね。
どんな国にもあって、一般的に不完全競争になっていることが予想されるセクターといえば、たとえば政府部門とかはどうでしょうね。各国の平均生産性(一人あたりGDP)と政府部門の賃金水準を比較してどの程度相関があるかを見てみると面白いかも知れないです。
もちろん、高所得国と低所得国が混ざったサンプルで比較すれば、ある程度の相関は出てしまうでしょうけど、たとえば高所得国グループ内でだけ比較して、果たして相関が出るでしょうか?

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さて、そんなことで散歩していたら、マクドナルドの賃金の国際比較を掲載していたBlogがあったので、せっかくなので、これで上のような比較をして相関を見てみることにしました。
http://cloudy9.blog29.fc2.com/blog-entry-46.html
これは2000年の統計なので、その頃のGDPをまとめたサイトをちょっと探して見ました(真面目に統計をあたるのは面倒なので)。2002年くらいのがあったので、これを使います。2年程度でGDPの値が大きく変化することはないと思うので、これで問題ないでしょう。
http://www.777money.com/torivia/torivia3.htm
上の考察通り、高所得国グループだけのサンプルで、表にしたのが下です。

時間あたり賃金(単位;ドル) 一人当たりGDP(単位;千ドル) 比(カナダを基準に)
カナダ 4.51 26.77 1.00
ドイツ 5.33 28.32 1.12
イギリス 6.35 26.37 1.43
アメリ 6.50 36.04 1.07
フランス 7.12 27.27 1.55
日本 7.73 31.28 1.47

マクドナルドの労働市場は結構競争的なイメージがありますけど、もし完全競争なら比は全て同じになるはずですが、結構ばらついています。相関という観点でも、あまり相関しているようには見えないですよね。

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よく考えると、この辺は、法律上の最低賃金との関係がある部分だから、競争的とはいえないところですね。