平均生産性? トリックが分かった気がする

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生産性と所得が強く関係するのは事実だけれども、それはそこに因果関係が存在するからではなく、等価だからだ。これはいわゆる三面等価というやつで、統計上でも少ない誤差で成立している。
ここがこの議論の厄介なところで、「賃金水準は、絶対的な生産性で決まるんじゃない。その社会の平均的な生産性で決まるんだ。」という不思議な命題を明快に否定できなくなってしまう。これがトリックだ。これがあるから、http://www.std.mii.kurume-u.ac.jp/~tadasu/essay_70219.htmlのような議論も成立してしまう。
しかし、よく考えてみれば、国民総生産と国民総所得は「常に」等しいのだから、(国内が完全競争なら)賃金水準と平均生産性は「常に」等しいわけで、それは因果関係ではない。国際競争が完全だろうが不完全だろうが、そんなことは関係ない。
因果関係ではないことの理由は、この命題が将来の予測に全く役に立たないことにある。たとえば、自由貿易協定が2国間の賃金格差にどのような影響を与えるかを考察しようとしたところで、この命題をどういじくりまわしたところでどういう結論も導くことはできない。