道路公団民営化

NIKKEI NET 20/Dec/2003 道路公団民営化最終案、建設委託方式を採用
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt8/20031220AS1F2000920122003.html

結局「建設委託方式」になった模様です。ただし、「建設する高速道路については民営化会社の同意を必要とする形とする。」ということらしいので、経済性による効率化が多少は期待できるのか・・・。ただし、既存の高速道路の料金に依存して、新しい高速道路を作るという枠組みは残るそうなので、高速道路の料金は安くはならず、採算性のない道路が作りつづけられる可能性は大いに残っているといえます。
本来の民営化委員会の趣旨は、建設した道路の建設費用は、その道路から得られる通行料だけでまかなうというものでした。だから、利用者の多い高速道路は、建設費用を回収しやすく、通行料が安く済むという趣旨だったのです。それは、現状の、利用者の多い高速道路からの通行料を使って、利用者の少ない地域に高速道路を乱造するという仕組みを改善しようという意図があったのでした。ところが、今回の決定では、そのような仕組みは結局のところ取り入れられることはなかったのです。だから、現状の高速道路の乱造を防ぐという効果は、今回の決定では得られないことになります。
道路の建設には、利害関係者が多いので、仕方がないのかも知れません。ある程度、採算性の低い地域にも、政治的な意図から高速道路を作っていかなければいけないということも、理解が出来ない話ではなく、民営化委員会のラジカルな案をそのまま実現することは難しいのが現実だということは理解できます。ま、仕方ないのでしょう。


今回の決定で、現状より進歩した点は、

  1. 高速道路建設の主体が民間企業になることで、財務的な規律や透明性がある程度確保されること
  2. 高速道路建設に関する、国への資金的な依存が弱まり、国家財政への負担が軽くなる
  3. 現状よりも、高速道路建設の意思決定機関と政治家の関係が弱まり、建設の独立性が多少高まる

というようなところでしょうか。
今後、高速道路建設については、新会社が調達可能な資金の量が、建設の量や規模の上限を決めることになるので、政府系金融を中心とした金融の側の構造改革の進展が、高速道路建設の経済的効率性を向上させる重要なポイントとなってきます。
というのは、政府系金融機関が、新会社に対して野放図な貸し出しを行えば、高速道路建設も野放図に行われることになり、金融の改革で、金融機関の側が新会社の経営状態を厳しくチェックするようになって、野放図な貸し出しが行われなくなれば、高速道路建設もシビアになるからです。
ということで、今後、やはり焦点になってくるのは、郵政の改革になってくるわけです。