道路公団民営化
前回の記事では、ちょっと論点がボケていたように思いますので、もう一度整理しておきます。
まず、道路公団の民営化において、現行の公団は、まず大きく2つに分割されます。
「新民営化会社」は、実際には、「首都高速道路」、「阪神高速道路」、「本州四国連絡橋」の3社と、「日本道路公団」が地域分割された3社(あるいは2社)の計6社(5社)に分割されます。(民営化委員会の最終報告では「本州四国連絡橋」は「日本道路公団」の地域分割会社に吸収されるはずですが、政府の決定ではそうなっていないみたいです)
さて、ここでポイントは2つあります。
民営化委員会の立場は、
- 道路建設は「新民営化会社」が決定する
- 現行の高速道路の通行料の流用は認めない
というものでした。
今回の政府の決定した案は、
- 建設する高速道路については「新民営化会社」の同意を必要とするが、基本的には「保有・債務返済機構」が方針を決定する。
- 現行の高速道路の通行料の流用は認めない
というものです。(前の記事には一部間違いがありました。上記が正しいです)
民営化委員会の立場によれば、「新民営化会社」はほとんど新しい高速道路を建設することは出来なくなります。最終報告の中身を見ても、高速道路の建設は、あまり考慮されていないことがわかります。
政府の決定した案では、高速道路の建設が進められるように、建設の決定権を「保有・債務返済機構」にもたせるようになっている点が違うのです。しかし、通行料の流用が出来ないため、新しい高速道路からの将来の通行料を担保に資金を借り入れなければならないのですが、おそらく、現実には政府保証を与えて資金を借り入れるような法制度がなければ資金を借り入れることはできないでしょう。なので、そのことが、政府の負担を増加させる懸念は残ります。
今後の焦点としては、前回の記事で指摘したように、金融の構造改革と政府保証に関する法制度の2点がポイントになってくるのでしょう。
P.S.
もう一点、民営化委員会の立場では、10年後に「保有・債務返済機構」と「新民営化会社」が一体化して、最終的に民営化会社が道路資産を保有することになるのですが、政府の決定では、道路資産は最終的に国に保有されることになります。ただ、この違いは、上記の違いに比べテクニカルな問題のように思いますので、論点から外しました。