イラク戦争とアメリカ大統領選挙

今回の大統領選は、ブッシュ氏が再選となったようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041104-00000006-mai-int

米大統領選>ブッシュ氏が再選決める ケリー氏が敗北宣言

 【ワシントン佐藤千矢子】米大統領選は2日、投開票が行われ、AP通信などによると、3日未明(日本時間同夜)までに、共和党ブッシュ大統領(58)がフロリダなど28州で選挙人計254人を獲得、ペンシルベニアなど19州と首都ワシントンで同252人を押さえた民主党のケリー上院議員(60)より優位に立った。一般投票の開票が終了したオハイオ州(20人)でもブッシュ氏の勝利がほぼ確実となり、AP通信によると、ケリー氏は同日午前11時(同4日午前1時)過ぎ、ブッシュ氏に電話で敗北を認めた。ブッシュ氏は同日中に勝利宣言する意向で、ブッシュ氏の再選が確定した。ケリー陣営はいったんは同州の「暫定票」の集計を要求して敗北を認めず、一時は混乱したが、最終的に逆転は困難と判断した。暫定票をめぐって混乱すると懸念されたが、投開票日の翌朝には決着した。
 両氏とも当選に必要な獲得選挙人270人に届いておらず、オハイオ州での結果が勝敗を決する展開となった。同州では開票の結果、ブッシュ氏がケリー氏に約13万6000票差をつけたが、民主党エドワーズ副大統領候補は「すべての票を数えるために戦う」と述べ、有権者名簿に氏名がなくても仮投票ができる暫定票の集計を要求、いったんは敗北を認めなかった。
 これに対し、カード大統領首席補佐官は同未明、暫定票を考慮しても逆転は不可能との連絡を同州務長官から受けたことを明らかにし、「オハイオ州での大統領の勝利は揺るがない」と強調。さらに、ブラックウェル同州務長官は同日朝、州内88郡のうち78郡の暫定票を約13万5000票と公表した。AP通信は州内全郡でも15万票との見通しを伝えた。同州は、州法に基づき暫定票の集計を11日後の13日まで開始しない方針。
 これを受けケリー陣営内では、エドワーズ氏がケリー氏に「敗北宣言すべきではない」と、徹底抗戦を主張したが、ブッシュ氏との得票差を暫定票で覆すのは困難で、00年選挙の混乱再来は回避すべきだとする意見が強まった。ケリー氏はブッシュ氏への電話で「大統領おめでとう。米国はあまりにも分裂してしまった。その(修復の)ためにも敗北を認める」と伝えた。
 一方、票集計機器が一部の郡で故障したアイオワ州と、両氏の得票数が接近しているニューメキシコ州では票の確定ができず、米メディアも両州の勝敗判定を持ち越した。
 ブッシュ氏は前回獲得した東部ニューハンプシャー州を失ったものの、フロリダを含む南部14州で00年前回に続き全勝。ケリー氏はニューヨークなど東部11州と首都で全勝し、最大票田カリフォルニア州を押さえた。無所属で立候補した消費者運動家のネーダー氏(70)はふるわなかった。
毎日新聞) - 11月4日2時6分更新

ところで、今回の選挙の争点となったイラク戦争ですが、日本から見ていると、また、日本の報道を見ていると、その意味合いが見えづらいですが、アメリカ国内の視点で見ると、以下のような意味合いを持っているものと考えられます。

9.11の事件により、テロリストという存在が、アメリカ本土への攻撃を実行できるほど、強力な力を持っていることに、大多数のアメリカ人がはじめて気づいた。このことで、テロリストの存在は、今現実にある脅威であり、一部地域のみではなく全世界にかかわる脅威であると、考えるようになった。そして、テロリストに対して、断固として戦いを挑んで、勝利することが、世界の平和を守るために必要なことだと考えた。第2次世界大戦のときに、イギリスやアメリカが、ドイツに対して行ったことと同じように。
まず、アフガニスタンへの攻撃が開始された。これは、世界のほかの国々でも、大方の理解は得られた。そして、大方、成功裏に終わった。9.11以後、大多数の先進国で大きなテロは再発することなく(炭疽菌テロはあったものの、それほど深刻な被害は出ていない)、世界は落ち着きを取り戻していった。
そして、イラク問題がクローズアップされた。アメリカ、イギリスにとって、アフガニスタンに次ぐテロリストの拠点はイラクと考えられ、イラク問題を放置していては、再び世界が脅威にさらされると考えた。しかし、その考えは、世界の賛同を十分に得ることができなかった。さらに、国際法上も、イラクを攻撃する十分な根拠が不足していた。そのため、当時、イラクに存在すると予想されていた大量破壊兵器の問題を取り上げ、イラク戦争大義とした。
つまり、大量破壊兵器の問題は、国際法上の大義のために用意されたもので、本来の目的は、テロリストとの戦いだった。そのため、大量破壊兵器が実際には存在しなかったことが判明しても、イラク戦争の必要性は薄れることがなく、多くのアメリカ国民が、いまだにイラク戦争を支持しているのだ。
今回の大統領選挙で、ブッシュ氏は「世界はより安全になった」と言い、ケリー氏は「イラク戦争は間違いだった」と言ったが、それは、イラク戦争によって、テロリストの脅威に対して勝利することに肯定的なブッシュ氏と否定的なケリー氏の2人の立場を表したものである。そして、アメリカ国民は、テロリストとの戦いを続け、世界とアメリカの平和をより強化することを望んでいるのだ。