買収対抗措置

きれいにまとまっているので、引用しておきます。

産経ニュース
「株主利益重視」打ち出す 政府、買収防衛策に指針

(共同)

政府は25日、望まない相手からの敵対的買収に備えた防衛策を企業が導入する際に目安となるガイドライン(指針)を提示する方針を固めた。株主利益重視を条件に打ち出すのが柱。ライブドアによるニッポン放送買収劇など、今後急増が予想される企業の合併・買収(M&A)時代に備え導入ルールを整備し、政財界などに広がり始めた懸念を払しょくする。
政府が今国会に提出する新たな会社法案により、米国で広く普及している「毒薬(ポイズンピル)」と呼ばれる買収対抗措置の導入が容易になる。それに合わせ、株主利益を守る目的で使うことを指針で明確化し、支配権維持を狙うものではない点を強調。経営者の保身に乱用されないよう歯止めをかける。
中川昭一経済産業相は25日の記者会見で「想定外のことも起きている」と述べ、買収対策の確立を急ぐ考えを強調した。
「毒薬」は企業が敵対的買収に備え、買収者の議決権比率を下げる仕組みを導入しておく措置。
政府は会社法案に新株予約権を含め「毒薬」の手段を豊富にする規定を盛り込む。使い方によっては商法の株主平等原則に反する恐れもあるため、指針で「ひな型」を示し、適切な導入を促す。
代表例では、あらかじめ株主に新株予約権を与えておき、買収者が一定割合の株を買い占めた場合、買収者以外の一般株主に自動的に普通株を発行し、買収者には議決権のない優先株などを与える方法だ。
指針には(1)新株予約権は取締役会の決定で取り消すことができる(2)「毒薬」導入に株主総会の承認を得る−を盛り込み、株主が支持する場合などは買収が実現する可能性を残す。
経産省企業価値研究会が3月に取りまとめる報告を受け、同省と法務省が指針を作成する。
会社法案は、買収者の株式を、逆に会社側が強制取得して議決権制限株式に転換できるなどの「種類株式」の発行も認め、「毒薬」の選択肢を広げる。
ポイズンピル 敵対的買収を防止する代表的な手段で、米国企業の約6割が導入している。買収者が一定の割合を超える株式を取得した時に、既存株主に新株を発行するなどして買収者の持ち株比率を下げ、影響力を低下させる仕組み。実際に買収が行われると、相手に「毒(ポイズン)」が回る「薬(ピル)」に例えられる。
「毒薬」を持つ企業に対して、買収を仕掛けにくくする予防的な効果がある。最近では、米ソフトウエア大手オラクルのピープルソフト買収で、ピープルソフトが備えていた「毒薬」が注目された。最終的には提示額を引き上げることで買収は実現したが、約1年半かかった。
日本では、2002年の法改正で新株予約権社債に付けずに単独で発行できるようにして、「毒薬」の導入の環境を整備しつつある。

「毒薬(ポイズンピル)」など敵対的買収への対抗措置は、企業買収先進国の米国で開発されてきた。政府は新たな会社法案に、「毒薬」のほか「ゴールデンシェアーズ(黄金株)」「シャークリペラント(サメよけ)」などの措置を容易にする規定も盛り込んでおり、米国をお手本にルール整備がさらに進みそうだ。
企業合併などに関して拒否権がある「黄金株」は、現行法でも発行できるが、第三者に譲渡されて悪用される恐れもある。今回は譲渡制限を認め、利用しやすくする。
定款に予防的措置策を盛り込み、買収されにくい企業体質にするのが「サメよけ」。今回は外国株が対価の場合の合併承認要件や、合併承認など重要事項の決議要件を厳しくする。
ほかにも米国には「白馬の騎士」「焦土作戦」など映画やミステリー小説の題名まがいの対抗措置が数多くあり、日本企業も活用する可能性がある。
(共同)
(02/25 20:05)