ニッポン放送新株予約件発行差し止め仮処分決定(2)

Sankei Webより

産経ニュース
新株予約権発行を認めず ニッポン放送、異議申し立て
ニッポン放送株をめぐり、ライブドアフジテレビジョンに対する同放送の新株予約権発行を差し止めるよう求めた仮処分申し立てについて、東京地裁(鹿子木康裁判長)は11日、「フジサンケイグループ経営陣の支配権維持を主たる目的としており、著しく不公正」と、発行を差し止める決定をした。
今後、地裁や、上級審で、今回の決定を覆す判断が出ない限り、新株予約権は発行できない。
今回の決定を弾みに、ライブドアは50%超まで株を買い増して同放送の経営権奪取を狙う。ニッポン放送は決定を不服として同地裁に同日、異議を申し立てた。
ニッポン放送亀渕昭信社長は11日、「誠に残念だ。裁判が終わるまでライブドア堀江貴文社長とは会わない」と述べた。
決定理由で鹿子木裁判長は、大量の新株予約権発行が、商法で差し止めの対象とされる「著しく不公正な方法で、一般株主に損害を与える新株発行」に当たると判断。
ニッポン放送側は「グループにとどまることが企業価値を高め、株主の利益となる」と主張したが、裁判長は、ライブドアの支配権取得によって、企業価値が著しく損なわれるとは言えないと指摘。予約権の発行価格は、特定株主に好条件で割り当てる有利発行に当たらないとした。
ライブドア時間外取引によるニッポン放送株の大量取得については、証券取引法に違反しないと判断した。
ニッポン放送は2月23日、ライブドアが株式をどれだけ買い進めても過半数を制することができないよう、発行済み株式の1・4倍に当たる、最大4720万株分の予約権をフジに割り当てる防衛策を打ち出した。
それに対しライブドアは翌日、支配権維持が目的などとの理由で「著しく不公正」と差し止めを求める仮処分を申請していた。
新株予約権 企業が発行する株式を、あらかじめ決められた価格で取得できる権利。以前は社債などと組み合わせた発行しかできなかったが、2002年の改正商法で単独発行ができるようになった。取引先との関係強化や資金調達、買収防衛策などに利用する。権利が行使されると、発行済み株式数が増加して1株当たりの利益が薄まるため、株価下落など既存の株主の利益を損なう恐れもある。ニッポン放送ライブドアの買収に対抗し、フジテレビを引受先として1株5950円で最大4720万株を購入できる予約権を発行する防衛策を打ち出した。フジテレビが権利を最大限行使すると、ニッポン放送株の保有比率が約74%となり、ニッポン放送を子会社化できる。一方、筆頭株主だったライブドア保有比率は約17%へと低下する。
■商法二八○条ノ一○ 会社が、法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法によって株式を発行し、これによって株主が不利益を受ける恐れがある場合は、株主は会社に対してその発行を止めるよう請求することができる。
(共同)

新株予約権仮処分決定骨子≫
一、新株予約権の発行は、現経営陣の支配権の維持を主たる目的としており、許されない
一、ライブドアの支配権取得により、ニッポン放送企業価値が著しく棄損されることが明らかとはいえない
一、ライブドアが行った時間外取引は、証券取引法に違反しない
一、したがって新株予約権の発行は、商法で差し止めの対象とされる「著しく不公正な方法」にあたる
一、ライブドアの担保金は5億円とする
(共同)

ニッポン放送株めぐる動き≫
・1月17日 フジテレビがニッポン放送株の公開買い付け(TOB)実施発表
・18日 TOB期間スタート
・2月8日 ライブドアニッポン放送株の約35%を取得し筆頭株主
・10日 フジテレビがTOBの目標を50%超から25%超に引き下げ
・23日 ニッポン放送がフジテレビに大量の新株予約権の発行を決定▽ライブドアニッポン放送株の保有比率が約42・5%に
・24日 ライブドア新株予約権の発行差し止めを東京地裁に申請
・3月1日 東京地裁で第1回審尋
・4日 第2回審尋
・7日 フジテレビのTOBの応募締め切り
・8日 フジテレビがニッポン放送株の36・47%を確保しTOB成立
・11日 東京地裁新株予約権発行差し止めを決定
・24日 新株予約権発行予定日
・25日 新株予約権行使の開始予定日(6月24日まで)
・31日 ニッポン放送の株主名簿確定
・6月下旬予定 ニッポン放送の定時株主総会
(共同)
(03/11 20:25)