人口の減少と経済的豊かさ

日本の人口が減少することが日本の経済の活力を奪うのではないかと心配している人が多いようですが、それはどうなんでしょうか? いろいろ考えると、必ずしも活力を奪うわけではないかもしれない。
経済が生産と流通と消費であるならば、近代化以前の世界は、人口の大半の人々が生産に従事しなければ、人口のすべてが食べることはできなかった。近代化後は、人力に代わって、機械的なエネルギーを使って、生産を行うことで、人口の大半の人が流通に従事するか消費のみを行う存在になることができるようになったと考えられます。
つまり、近代化後は、生産と人口は必ずしも比例していない可能性が高いのです。むしろ、機械的エネルギーのシェアが一定であれば、(効率が一定ならば)生産量は一定ですから、人口が少ない方が、個人がより豊かになるといえます。そのことを、個人は暗黙的に理解しているため、出産人数が減少して、全体として出生率が下がっているとも考えられます。
そのことを考えれば、日本の取るべき方向性は、人口を増やすことよりも、生産効率を高めること、輸出競争力を高めることです。そのためには、効率の低い産業、労働集約的な産業は国内に残す必要はないかもしれません。