「ハードディスクに関する4つの都市伝説」について

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070222_about_hdd/の記事だが、[id:lethevert:20070220:p3]で見たように、GIGAZINEの解説は当てにならないので、原論文を見ることに。
http://www.usenix.org/events/fast07/tech/schroeder/schroeder_html/index.html
最後の「7 Conclusion」だけ見ると、

  • データシートのMTTFよりも現実の交換率の方がかなり大きい
  • 交換率は、5歳まではデータシートのMTTFから導かれる値の2−5倍、そこから8歳までは30倍程度になる
  • 2ー5歳の間の交換率はフラットに推移すると思われがちだけれど、実際は2歳のときから継続的に増加傾向にある
  • SATAのディスクの交換率は、SCSIやFCのディスクと同じくらいでしかない。これはおそらく、ディスクの種類に関係ない要因が交換率に大きな影響を与えているためだろう。(注:続くbad batchの件はよく分からないので省略)
  • MTTFは幼児死亡率を過小評価しているという共通意識から新しい標準に幼児死亡率を取り入れるよう提案されているが、早くに磨耗が開始してしまうことを過小評価していることは幼児死亡率の過小評価よりも重要なので、これも標準にとりいれるべき
  • 時間/交換の分布が指数分布でないことはほぼ間違いない。研究者と設計者は、実際の交換率のデータか、それが利用できなければワイブル分布のような2パラメータの分布を利用するべき
  • ワイブル分布の形状パラメータは0.7から0.8の間とすると、データによく適合する
  • 交換の発生時間間隔には、無視できないレベルで、自己相関関係(autocorrelation)と長時間依存性(long-range dependence)が見つかった

ということで、先のGoogleの論文とは観点が違う内容になっています。
ところで、自己相関関係と長期依存性が確認できるということは、比較的長い周期性があるという理解でいいんですよね。