郵政民営化と公的資格

郵政民営化に関して、新しい公的資格などの導入が検討されています。これをもって、何のための民営化か、などと批判する人もいるようですが、制度や法律の整合性のために公的資格が導入されるのは、合理的なことのように思います。なぜなら、郵便については、公的な社会インフラとしての性格をより強く持っていると思うからです。
郵政民営化について、最大の課題は、郵便貯金・簡易保険という最大の金融機関をどのようにするかというところであり、ここが本丸です。4分社化の窓口ネットワーク、郵便、郵便貯金、郵便保険のうち、新しい公的資格に関連するのは、窓口ネットワークと郵便であり、金融関連である郵便貯金と郵便保険はその対象ではありません。つまり、今の公的資格の議論は、郵政民営化の中では、構造改革という観点では重要性の低い部分であり、無難に議論を進めることが望まれ、場合によっては本丸の改革に向けて政治的な譲歩をすることができる部分なのです。

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20050203k0000m010154000c.html
郵政民営化:郵便局長に国家資格 政府が複数案回答へ
政府は2日、07年4月の郵政民営化後の職員の身分について、郵便局長に市町村からの業務委託を受けられる「新たな国家資格」を付与するなどの複数案を自民党に提示する方針を固めた。公務員に準じた身分保障を求める自民党内の意見に配慮したもので、4日に開く自民党との実務者協議で職員の身分など未調整の4項目に関する政府回答として示し、妥協点を探る調整を進める。
政府の「郵政民営化の基本方針」では約27万人の日本郵政公社職員について民営化後は国家公務員の身分保障を失うことが明記されている。訴訟関連書類や内容証明郵便などは公務員が扱うと法令で定められているため、郵便、窓口ネットワーク両社の社員は公務員の守秘義務や刑法の収賄罪が適用される「みなし公務員」とすることで与党側の理解を得たい考えだった。
しかし、自民党内の反発がなお強いことから、全国の郵便局長に新たな国家資格を付与する案も併せて検討する必要があると判断。郵便局長以外の職員に国家資格の対象を広げる案も浮上している。小泉純一郎首相は2日夜、「民間人になっても今の郵便局員の(仕事が)できる資格や待遇は与えないといけない」と記者団に語った。
毎日新聞 2005年2月3日 3時00分

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郵政民営化後の職員の身分は「郵便士」・竹中担当相
政府は2日、郵政民営化後の日本郵政公社の職員の身分について「郵便士」など新たな国家資格を創設する方針を決めた。竹中平蔵郵政民営化担当相が自民党幹部に伝えた。裁判所の特別送達など、国家公務員を前提とする公的サービスの維持には欠かせないと判断した。郵便貯金、簡易保険のユニバーサル(全国一律)サービスの義務づけも、10年間の移行期間中は柔軟に対応する方向だ。
小泉純一郎首相も同日、記者団に「公務員として必要な仕事が民間人になってもできるよう考えないといけない。資格なり、待遇なりを与えないといけない」と表明した。 (23:32)